水晶発振回路の実際 |
次に、いろいろな場面で遭遇する水晶発振回路を見ていきましょう。
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ICの内部の発振回路を利用する場合 |
ベストな水晶発振回路は、ワンチップマイコンなどに内蔵されている発振回路です。たとえば、XTAL1,XTAL2のように2本の線が出ていて、マニュアルに記載されたとおりの周波数の水晶と、記載された通りの容量のコンデンサをつなげば大抵の場合は発振してくれます。それでも発振しない場合は、水晶のカットが違うか、水晶のオーバートーンの関係か、もしくは配線の引き回しが悪い場合です。
とにかく、マニュアルどおりに作ればうまくいきます。
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ロジックICを利用する場合 |
自前でデジタルの発振回路を組む場合、CMOS-ICを使ったほうが良いでしょう。CMOS-ICは内部の構造上、上下が対象に作られているので電源電圧の半分が入力の閾値になります。そのため、発振のデューティー比が50%に近くなります。TTLでは入力Lレベルが0.8V付近に、Hレベルが2.0V付近ですので非対称なので発振回路を作るのは多少難しくなります。
74シリーズのロジックICでは、HCシリーズやACシリーズはCMOSです。ABT、LS、ALS、FシリーズはTTLです。ACTシリーズはCMOS構造ですが、入出力レベルがTTLなのでうまくいきません。HCTも同様にTTLレベルなので避けるべきです。また、HCシリーズもゲインが高いので水晶発振回路には不向きです。HCUシリーズはHCシリーズと似ていますが、内部のバッファの段数が低く、要するに増幅度が小さいので緩やかな増幅をしてくれます。水晶発振回路のようなアナログ回路には向いています。結局、HCUシリーズやACシリーズのインバータ(74HCU04,74AC04)を使うのがよいでしょう。
発振周波数が20MHz以下ならばHCUを、30MHz以上ならばACを使うとよいかと思います。その中間は微妙です。実際に試した例を後述します。
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C1とC2の値の決め方 |
デジタル回路に使う水晶発振回路では、インバータが増幅回路の役割をします。その増幅度はコンデンサの容量の比に比例します。
増幅度∝C2/12
また、C1とC2の直列容量C1*C2/(C1+C2)は水晶から見た負荷容量になります。水晶は発振回路の中ではコイルとしての働きをしますので、共振回路をつくるためにコンデンサが必要なわけです。そこで、このコンデンサの値を変えれば水晶発振回路の周波数を微調整することができます。そのために、C1をトリマーにすることもあります。
このコンデンサの値は、発振周波数にもよりますが、15pFから33pF程度がよいと思われます。多くの場合は適当でもいいのですが、値の設定の仕方がまずいとオーバートーン発振をしてしまったり、してくれなかったりします。街で買ってきた水晶を使うときには、カットアンドトライで決めます。
なお、コンデンサの値は0〜68pFくらいの範囲ならどのような値でもたいていは発振するのですが、一般的には22pFが人気です。でも実際に実験してみたところ、47pFや68pFなど、大きい値のほうが指で触れても発振が持続するなど、安定度は増すようです。
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R1の役割 |
R1はアンプのゲインを下げるネガティブフィードバックで、1MΩくらいの抵抗を選択します。
ところが、この抵抗にはネガティブフィードバック以外にも重要な意味があるようです。どうやらこの抵抗がないと、電源投入後に発振を開始してくれないようです。
この抵抗がないときには、指で触るなどして刺激を与えないと発振しませんでした。
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オーバートーンを制御するためには |
- まず、水晶を選びます。オーバートーンしやすい水晶としにくい水晶がありますので、よく取捨選択することが大切です。
- 次に、望みの周波数において、ベストな周波数特性を持つアンプを選択することです。デジタル回路のクロック発振用では、インバータを使ってアンプを作りますが、使うICの種類によっても発振周波数が変わります。例えば74HCUシリーズでは、およそ20MHzまでの発振を得意とします。40MHzや60MHz、さらに高い周波数でのオーバートーン発振を狙うなら、74ACシリーズを使うことも考えます。なお、発振回路に使う場合では74HCUシリーズと74HCでは全く特性が異なってきますので注意が必要です。さらに、74HCTシリーズはもっと違う特性を持っています。
単純にいうと、74HCU < 74HC < 74ACの順に得意とする周波数特性が変わってきます。
- 第三に、水晶発信回路に使うコンデンサの容量を変えます。
単純にいうと、容量の大きいコンデンサ(47〜68pFくらい)を使うと、40MHz〜100MHzでは発振しにくくなります。高い周波数にとってコンデンサは重いらしいのです。
また、2つのコンデンサの比によってCMOSインバータの増幅度は変わりますので、その増幅度を上げればオーバートーンしやすくなり、下げればオーバートーンしにくくなります。
50〜100MHzくらいでオーバートーンをさせたければC1に10〜15pFくらいを、C2に33pFくらいを使うと、うまくいく可能性が高いです。
- 第四に、水晶に直列に挿入する抵抗R2の値によって、オーバートーンを制御する方法があります。
この方法では抵抗R2があるとオーバートーン発振をしにくくなると言われています。その回路を右に図示します。
いざ回路を設計しようとなると、この抵抗R2の値はどれくらいが良いのだろうかと考えてしまいますが、理論的に考えれば、望みの共振状態における水晶の直列等価抵抗と、アンプのもつ負性抵抗があって、負性抵抗を弱らせるためにいれるわけですから、そんなのを真面目に考えるときりがありません。
数百〜数kΩを入れて、カット・アンド・トライです。
ところで、以前書いた「水晶発振回路の豆知識」では回路を間違っていて、右の図のようになっていました。良く見ると抵抗の位置が違いますね。
そこで今回、実際に右の図の回路を製作し、その値を可変させて発振状況を見る実験をおこないました。ところが、この実験回路も回路が間違えており、そのまま実験をおこなってしまいました。
間違いに気がつかずに実験したのですが、面白い結果となりました。抵抗がゼロの時には基本波しか発振できない回路でも、R1が2kΩ〜6kΩになれば3倍で共振させられることがあるのです。さらに抵抗の値を微調整すれば5倍や7倍で共振することもありました。原因は良くわかりません。
この実験の結果ですが、74HCU04では抵抗の値が200Ω程度になるとループの増幅度が足りなくなって、発振しなくなる現象も起きました。74HCやACシリーズではそのようなことにはなりませんでした。
- どうしても、オーバートーンがおさまらないときには、C1に並列にLC共振回路を入れるという最後の手段もあります。
この共振回路がオーバートーンの周波数に設定されていて、直列共振によってオーバートーンの周波数をグラウンドに落とすことで発振を抑えたり、逆に並列共振によってオーバートーンの周波数の選択度を上げたりします。
きっと、難しいでしょう。
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街で売っている水晶で実験 |
秋葉原で手に入れたさまざまな水晶の実力をチェックします。
実験には下の図のような回路を製作して、ICや水晶はもちろん、コンデンサの値や抵抗の値まで自由に設定できるようにしました。
いろいろ実験した結果、
- 全体的に、容器が扁平な長型水晶より、短型水晶のほうが安定して発振する。
- C2>C1にすれば必ずしもオーバートーンするわけではない。
- 高い周波数で発振させたいなら、あまり大きなコンデンサを選択してはいけない。
- 必ずしも74ACシリーズが高次のオーバートーンをさせやすいわけではない。
- コンデンサの容量が小さいと、指で触ったときに発振不能になりやすい。
と結論します。
ただし、下記の実験は私がたまたま1つだけ購入した水晶でおこなった実験に基づいています。
水晶の個体差もあるでしょうし、間違いもあると思いますし、水晶メーカーの言い分も販売店の言い分もあると思います。
そのため、この実験結果のご利用による結果は一切保証しません。
皆様自身の責任においてご使用ください。
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短型 8M水晶 |
この水晶は8MHzで発振します。いろいろ頑張ってみましたが、オーバートーンで発振させることはできませんでした。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | 8MHz/不安定 | | | | | |
10pF | 8MHz/不安定 | 不安定 | | 不安定 | | | 不安定 |
15pF | | | | | | | 8MHz |
22pF | | 8MHz | | 8MHz | | | 8MHz |
33pF | | 8MHz | | | | | |
47pF | | 8MHz | | 8MHz | | 8MHz | 8MHz |
68pF | | | | | | | 8MHz |
この水晶は74ACの実力をもってしてもオーバートーンしてくれません。逆にいえば、安定した8MHzがほしいときにはベストでしょう。
また、47pFくらいのコンデンサを使うと、水晶の足を指で触れても発振をしてくれます。つまり、丈夫になるというわけです。
74HCU04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 8MHz | | | | | | 8MHz |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 8MHz | 8MHz | | 8MHz | | 8MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | | | | |
68pF | 8MHz | | | | | 8MHz | 8MHz |
74HCU04を使った場合、C1やC2のコンデンサを接続しなくても発振をしてくれます。
この水晶は極めて安定して発振してくれます。
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長型 12MHz |
この水晶は12MHzで発振します。12MHzになったり、36MHzになったり、いろいろな周波数で発振する楽しい水晶です。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
なお、下の表で「/」は、複数の周波数で発振が起こりうるということを表します。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | × | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 |
10pF | 36/不安定 | 36/不安定 | 12 | 12/36 | 12/36/60 | 12/36 | 12/36 |
15pF | 12/36 | 12/84 | 36/12 | 36/60 | 12 | 12 | 12 |
22pF | 36 | 36 | 36 | 12/36 | 12/36 | 12 | 12 |
33pF | 12 | 36 | 36 | 12/36 | | 12 | 12 |
47pF | | 36 | 36 | 12/36 | 12/36 | | |
68pF | 36 | | 36 | 12/36 | 12/36 | 12/36 | 12 |
回路を間違えると7倍オーバートーンの84MHzで発振させることもできました。
74HC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | | 12MHz | |
10pF | 12/36 | 12/36 | | 36MHz | | 12MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 12/36/60 | 12/36 | | 12/36 | 12/36 | 12MHz | |
33pF | | | | | 12/36 | 12MHz | |
47pF | 12/36 | 12/36 | | 12/36 | 12/36 | 12MHz | |
68pF | | | | | | | |
基本的には12/36MHzの混在で発振します。
74HCU04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 12MHz | 12MHz | | 12MHz | | 12MHz | |
10pF | 12MHz | 12MHz | | 12MHz | | 12MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 12MHz | 12MHz | | 12MHz | | 12MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | 12MHz | 12MHz | | 12MHz | | 12MHz | |
68pF | | | | | | | |
12MHzで安定して発振します。C2に47pFを使った場合では、指で触れても発振を持続するくらい丈夫です。
74HCT04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | | 12MHz | |
10pF | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | | 12MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | | 12MHz | |
33pF | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | 36MHz | 12MHz | |
47pF | 36MHz | 36MHz | | 36MHz | | 12MHz | |
68pF | | | | | | | |
C1に47pFを選べば12MHzで発振しますが、それより小さいと36MHzで発振するようです。
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短型 16MHz |
この水晶は16MHzで発振します。通常は16MHzのみで発振しますが、間違った回路で抵抗をつなぐとオーバートーンします。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | 155MHz | | | | | 16MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | | 16MHz | | 16MHz | | 16MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | 16MHz | | | | 16MHz | |
155MHzはおそらく別の原因の発振です。普通の使い方をすれば16MHzでちゃんと発振してくれる安定した回路がつくれます。
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短型 19.6608MHz |
この水晶は19.6608MHzで発振します。19.6608=19.2*1024kHzです。この水晶はオーバートーンさせることはできませんでした。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | 19.6MHz |
15pF | | 19.6MHz | | | | | |
22pF | | | | 19.6MHz | | | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | 19.6MHz | | 19.6MHz | | | |
指で触っても発振を持続する極めて安定した発振回路がつくれます。
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短型 20MHz |
この水晶は20MHzで発振しますが、条件によっては60MHzでオーバートーンさせることもできます。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
なお、下の表で「/」は、複数の周波数で発振が起こりうるということを表します。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 60MHz | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | | | | | |
22pF | | 20MHz | | 20MHz | | 20MHz | |
33pF | 60MHz | 60/20MHz | | 20MHz/不 | 20MHz | | |
47pF | 60MHz | 20/60MHz | 20/60MHz | 20MHz | 20MHz | 20MHz | |
68pF | | 60MHz | 20/60MHz | | 20MHz | | |
*このICでのコメント。
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長型 24MHz |
この水晶は24MHzで発振しますが、どうやら基本波8Mの水晶のようです。がんばれば40MHzでも発振します。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
なお、下の表で「/」は、複数の周波数で発振が起こりうるということを表します。
74HCU04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 24MHz | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | 8MHz | | | | 8MHz |
22pF | | 8MHz | | 8MHz | | 8MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | 8MHz | | | |
68pF | | 8MHz | 8MHz | | | 8MHz | |
74HCUシリーズを使用した場合は基本波で発振しやすく、24MHzでの発振は難しいようです。
74HC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | | | | | |
22pF | | 8MHz | 8/24MHz | 8/24MHz | | | |
33pF | | | | 8/24MHz | | | |
47pF | | | 24MHz | | | | |
68pF | | | 8/24MHz | | | | |
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 不 | | 無発振 | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | 不 | 不 | 24MHz | | | 不 | 24MHz |
22pF | 不 | | カオス | 不 | 24MHz | 24MHz | 24MHz |
33pF | 不 | カオス | 24MHz | | | | 8/24MHz |
47pF | 不 | | | 24MHz | 24MHz | 8/24MHz | 8/24MHz |
68pF | 8M/不 | 不 | 不 | | | 24MHz | 8/24MHz |
*「不」は不安定を意味します。74ACを使って電源投入時にも安定に発振させるには、大きめの負荷容量が必要なようです。
この水晶と74ACを使った発振器はおすすめできません。
74HCT04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | | | | | |
22pF | | 8MHz | 8/24MHz | 8/24MHz | | | |
33pF | | | | 8/24MHz | | | |
47pF | | | 24MHz | | | | |
68pF | | | 8/24MHz | | | | |
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短型 24MHz |
この水晶は24MHzで発振します。前述の長型24MHz水晶とちがい、オーバートーンすることはありませんでした。基本波の周波数も24MHzですので、8MHzになったりすることもありません。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | 24MHz | | | | | |
22pF | | | | 24MHz | | | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | 24MHz | | 24MHz | | 24MHz | 24MHz |
指で触っても発振が持続します。極めて安定した発振回路がつくれるでしょう。
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短型 24.576MHz |
あまり深くは試しませんでしたが、この水晶は24.576MHzで発振します。オーバートーンすることはないようでした。なお、24.576MHz=24×1024kHzです。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | | | | | | |
22pF | | | | 24.5MHz | | | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | 24.5MHz | 24.5MHz | 24.5MHz | | | |
発振中に指でふれても発振が持続する、極めて安定した発振回路がつくれます。
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短型 25MHz |
この水晶は25MHzで発振します。オーバートーンをさせることは難しく、とても安定している良い水晶です。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
74HCU04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
10pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
68pF | | | | | | | |
とても安定しています。
74HC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
10pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
68pF | | | | | | | |
とても安定しています。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 25MHz/不 | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
10pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
33pF | | | | | | | |
47pF | 25MHz | 25MHz | | 25MHz | | 25MHz | |
68pF | | | | | | | |
負荷容量がない場合、多少不安定になります。
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長型 27MHz |
この水晶は27MHzで発振しますが、基本波は9MHzです。がんばれば45MHzにもなります。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
なお、下の表で「/」は、複数の周波数で発振が起こりうるということを表します。
74HCU04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 27MHz | 27MHz | 9/27MHz | 9MHz | 27MHz | 27MHz | |
10pF | 27MHz | 27MHz | 9/27MHz | 9/27MHz | 9MHz | 9/27MHz | |
15pF | | | | | | | |
22pF | 9/27MHz | 9/27MHz | 9/27MHz | 9/27MHz | 9MHz | 9MHz | |
33pF | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 9MHz | 9MHz | |
47pF | | | | | | | |
68pF | 9/27MHz | 27MHz | 27MHz | 9/27MHz | 9MHz | 9MHz | |
電源投入時や、抵抗値を変えた場合に9MHzになったり27MHzになったりするので、27MHzの安定発振は簡単ではありません。
74HC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 45MHz | 27/45MHz | 27MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | |
10pF | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | |
15pF | 27/45MHz/不 | 27/45MHz/不 | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | 27/45MHz | |
22pF | 27MHz/不 | 27MHz | 不 | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
33pF | 不 | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | | | | | | |
74ACよりも高次のオーバートーンをしやすいようです。「不」は不安定を意味します。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | 無発振 | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
10pF | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
15pF | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
22pF | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
33pF | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | 27MHz | |
47pF | | | | | | | |
68pF | | | | | | | |
うまくいきます。
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短型 50MHz |
この水晶は50MHzで発振しますが、基本波は16.65MHzのようです。コンデンサの容量が大きいと基本波になってしまいます。
C1をインバータの入力側、C2を出力側コンデンサの容量として、その値と発振周波数の関係を実験しました。
なお、下の表で「/」は、複数の周波数で発振が起こりうるということを表します。
74AC04使用 |
↓C2\C1→ | なし | 10pF | 15pF | 22pF | 33pF | 47pF | 68pF |
なし | | | | | | | |
10pF | | | | | | | |
15pF | | 50MHz | 17/50MHz | | | | |
22pF | | | | 17/50MHz | | | |
33pF | | | | | | | |
47pF | | 17/50MHz | | | | | |
68pF | | 17/50MHz | 17/50MHz | 17MHz | | 17MHz | |
74ACシリーズを使った場合、電源投入時にも50MHzを確実に発振させることは難しいようです。抵抗が必要になるのでしょう。
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