ツェナーダイオードを使いこなす

 ツェナーダイオードは定電圧や基準電源を得るためによく使われる素子です。ここではツェナーダイオードを使う場合の注意点を簡単に紹介します。

ツェナーダイオードの基本

 ツェナーダイオードは、普通のダイオードとは違い逆方向に電圧をかけて使います。普通のダイオードでも逆方向に30Vくらいの電圧をかけると、急に電流が流れるようになります。(右図参照)。これをツェナー効果と呼んで、ツェナーダイオードはこの現象が比較的低い電圧でも起きるように、半導体に混ぜる不純物の量を調整したものです。

 ツェナーダイオードに逆方向に電圧をかけていくと、急激に電流が流れる原因は二つあります。ひとつはトンネル効果によるツェナー・ブレークダウンで、もうひとつはアバランシェ・ブレークダウンです。ツェナーダイオードはこの両方の効果が少しづつ混ざりあっています。比較的低い電圧のツェナーダイオードではツェナー・ブレークダウンの方が支配的になっていて、逆に比較的高い電圧のツェナーダイオードではアバランシェ・ブレークダウンが支配的になってきます。5V近辺のツェナーダイオードではそれぞれが程よい割合で混ざり合っています。

ツェナーダイオードの温度特性

 トンネル効果は負の温度係数を持っています。アバランシェ効果は正の温度係数を持っています。そのためツェナーダイオードの温度特性はツェナー電圧によって大きく変わってきます。5V近辺ではトンネル効果とアバランシェ効果が同じような割合で効いてくるので、温度係数が互いに打ち消し合い、温度が変化してもツェナー電圧が変化しにくくなっています。

ツェナーダイオードのノイズ

 ツェナーダイオードは最もノイズを発生させる素子の一種です。発生するノイズは一般的に、ツェナー電圧が高いほど大きくなり、ツェナーダイオードに流す電流が大きいほど小さくなります。たとえば30Vの電圧がほしいときには、30Vのツェナーダイオードを使うのではなく、15Vのツェナーダイオードを2本直列につないだ方がずっとノイズが小さくなります。

ツェナーダイオードのドライブ方法

 ツェナーダイオードは、安定化電源などで基準電圧を作るのによく使われます。不安定な電源からきれいな安定した電圧を作り出すという大役を受け持っているわけです。不安定な電源から抵抗などでツェナーダイオードに電流を流すと、もとの電源の不安定さが少し残ってしまいます。そこで、定電流回路を通してツェナーダイオードに電流を流すことがよく行われます。

 定電流回路は等価インピーダンスがほぼ無限大なので、不安定な電源とツェナーダイオードを電気的に分離してくれます。そのため、ツェナーダイオードは元の電源の不安定さを受けにくくなり、安定した電圧を供給してくれるようになります。

ツェナーダイオードのインピーダンス

 これはツェナー電圧と流す電流によって大きく変わります。たとえば、あるメーカーの5Vのツェナーダイオードは1mA流した時に100Ωですが、10mA流すと7Ωにまで下がります。
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