120kΩと13kΩは同じ!?
ある日のこと、アナログフィルタを作るために11.75kΩの抵抗が必要になったのですが、私はそれを120kΩと13kΩの並列接続で作ろうとしました。早速千石に買いに行ったのですが、気が変わって11kΩと750Ωの直列接続で作ることにしました。そこで、13kΩの抵抗を元の棚に戻しました。
次に120kΩを戻そうとしたのですが、あれ?13kΩは戻したはず・・・
ちょっと混乱しましたが、すぐにわかりました。13kΩと120kΩはカラーコードが同じなのです。申し遅れましたが買った抵抗は1%精度の金属皮膜抵抗です。
種明かしをすると、13kΩのカラーコードは(■■■■■)です。一方、120kΩのカラーコードは(■■■■■)です。つまり、逆さなんですね。
抵抗のカラーコードを解説したページはたくさんありますが、5線や6線の抵抗の読み方を解説しているところは少ないようです。まずは、カラーコードのおさらいです。
色 | 数字 | 乗数 | 誤差 | おぼえ方(^.^) |
黒 | 0 | 10^0 | 1% | 黒い礼服 |
茶 | 1 | 10^1 | 2% | お茶を一杯 |
赤 | 2 | 10^2 | | 赤いにんじん |
橙 | 3 | 10^3 | | 第三者 |
黄 | 4 | 10^4 | 0.5% | 黒い礼服恵子 |
緑 | 5 | 10^5 | 0.25% | 緑はゴー |
青 | 6 | 10^6 | 0.1% | ろくでなしブルース |
紫 | 7 | 10^7 | | 紫七部 |
灰 | 8 | 10^8 | | ハイヤー |
白 | 9 | 10^9 | | ホワイトクリスマス |
金 | | 10^-1 | | |
銀 | | 10^-2 | | |
無色 | | | ±20% |
さて、■■■■。最も有名な抵抗です。これは1kΩで5%精度ですね。おそらくカーボン抵抗でしょう。そのため、■=1kΩの台と覚えてしまっている人もいます。
次は5線抵抗です。■■■■■。これは10kΩの1%精度になります。なぜかと言うと、■■■で100をあらわします。これに指数部の10^2=100がかかるので、10000Ωつまり、10kΩになります。ほとんどの場合、5線抵抗は真ん中が■ですから、指数部の■は10kΩの台をあらわすことになります。4線の抵抗の指数部をひとつずらしたとお考えください。
では、6線の抵抗はどうなるかというと、たとえば■■■■■■、もう何がなんだかわからないですが301kΩをあらわします。抵抗値が有効数字3桁もあるようなE96系列の抵抗では6本の線が必要になります。6線の抵抗は秋葉原で売っています。東ラジに行ってみましょう。
5線や6線抵抗のハマリの原因は、誤差を示す色が茶色だったり緑だったりすることに起因します。たとえば、E24系列、1%精度の金属皮膜抵抗では5線ですが、誤差の色は茶色です。抵抗は逆さにしてもカラーコードはカラーコードなので、逆から読んでしまう危険性があるのです。
ちなみに、E24系列は、
1.0 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 1.5 | 1.6 | 1.8 | 2.0 | 2.2 | 2.4 | 2.7 | 3.0 |
3.3 | 3.6 | 3.9 | 4.3 | 4.7 | 5.1 | 5.6 | 6.2 | 6.8 | 7.5 | 8.2 | 9.1 |
です。誤差が1%の金属皮膜抵抗は誤差の色が茶色ですので、逆さにしても同じ色になる可能性のあるのは、1で始まる抵抗値、1.0,1.1,1.2,1.3,1.5,1.6,1.8に関する抵抗になります。
可能性のあるものを列挙して検証してみましょう。
- 100Ω(■■■■■)→100Ω(■■■■■)ひっくり返しても同じ
- 110Ω(■■■■■)→1kΩ(■■■■■)と同じ
- 120Ω(■■■■■)→10kΩ(■■■■■)と同じ
- 130Ω(■■■■■)→100kΩ(■■■■■)と同じ
- 150Ω(■■■■■)→10MΩ(■■■■■)の1%金皮はありません。
- 160Ω(■■■■■)→100MΩ(■■■■■)の1%金皮はありません。
- 180Ω(■■■■■)→10GΩ(■■■■■)の1%金皮はありません。
1MΩを超える1%金属皮膜抵抗は普通は売っていないので、1.5、1.6、1.8の系統は考えなくてもよいでしょう。そうすると、残りは・・・
- 1.0kΩ(■■■■■)→110Ω(■■■■■)と同じ(既出)
- 1.1kΩ(■■■■■)→1.1kΩ(■■■■■)ひっくり返しても同じ
- 1.2kΩ(■■■■■)→11kΩ(■■■■■)と同じ
- 1.3kΩ(■■■■■)→110kΩ(■■■■■)と同じ
- 10kΩ(■■■■■)→120Ω(■■■■■)と同じ(既出)
- 11kΩ(■■■■■)→1.2kΩ(■■■■■)と同じ(既出)
- 12kΩ(■■■■■)→12kΩ(■■■■■)ひっくり返しても同じ
- 13kΩ(■■■■■)→120kΩ(■■■■■)と同じ
- 100kΩ(■■■■■)→130Ω(■■■■■)と同じ(既出)
- 110kΩ(■■■■■)→1.3kΩ(■■■■■)と同じ(既出)
- 120kΩ(■■■■■)→13kΩ(■■■■■)と同じ(既出)
- 130kΩ(■■■■■)→130kΩ(■■■■■)ひっくり返しても同じ
- 1MΩ(■■■■■)→140Ω(■■■■■)E24系列にはない。
読み間違いの危険性のある抵抗がこれですべてそろいました。
- 110Ω(■■■■■)と1kΩ(■■■■■)
- 120Ω(■■■■■)と10kΩ(■■■■■)
- 130Ω(■■■■■)と100kΩ(■■■■■)
- 1.2kΩ(■■■■■)と11kΩ(■■■■■)
- 1.3kΩ(■■■■■)と110kΩ(■■■■■)
- 13kΩ(■■■■■)と120kΩ(■■■■■)
これらの抵抗を買うときには、十分注意しましょう。さて、ひっくり返したカラーコードでも読めてしまう抵抗は、どうやって区別すればよいのでしょうか。じつは、誤差の方がちょっとだけ太いのです。といっても、カラーコードは印刷なので、太さがほとんど同じようにできてしまう物もありますので、じっくり眺めて、そして疑ってみてください。
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