平成14年1月4日夕刊
なひたふ新聞 電子回路が大好きな趣味人「なひたふ」のWebサイト
maruTOPページへ戻る
maru電子回路作品集
電光掲示板(大)
電光掲示板(中)
電光掲示名札1
電光掲示名札2
電光掲示ウェルカムボード
486マイコンボード
Z380マイコンボード
超高速フーリエ変換器
空中配線ロボット
組込み型 PROM・GALライター
CPLDユニバーサルプログラマ
CMOSデジカメ
基板年賀状
CMOSデジカメ(仮称)
平成12年10月中間報告
メール
メールアイコン御意見、御感想は
nahitafu@nifty.com
Copyright
このWebページ上で紹介したすべての回路、情報、内容に関する著作権は私、なひたふが所有します。無断転載を固く禁じます。
(C)Copyright 1999-2001 Nahitafu
平成10年2月28日発行.第三種郵便物不認可
CMOSカメラ
カメラチップ

 CMOSカメラというのは、最近とても注目を浴びている撮像素子です。従来からカメラといえばCCDカメラが有名でしたが、CMOSカメラ(CMOSイメージセンサ)というデバイスがここ数年のうちに急激な進歩をしています。まだ、画質ではCCDにかないませんが、日進月歩の技術革新が行われているので、いずれはCCDに追いつき追い越すでしょう。
 構造がCMOSなので、とても消費電力が少なく、またとても小型です。
 そして、ディジタル回路との相性がよくなるために、多くの製品はディジタル出力ができます。こんな面白いデバイスを放っておくては無いと思い、とりあえずサンプルを購入してデジカメを試作することにしました。

 カメラチップはオリンパス光学のSC1020を使うことにしました。PLCCに似たパッケージですが、デフォルトでICの上にレンズがついています。光学系が苦手な人でもこれで安心。カメラのチップは右の写真で、キーボードのキーと同じ位の大きさです。

回路の構成
 デジカメというからには、画像を一時記憶しておかなければなりません。そのためには画像用メモリが必要です。それから画像を表示するためのNTSCエンコーダーやDA変換器も必要です。パソコンとつなぐのはプリンタポートにしましょう。
 全体を統括するのは、XILINXに任せましょう。中に入るのは、メモリコントローラと同期信号発生器、データパスくらいなので、スパルタンやXC4000XLAシリーズを持ち出す必要は無いと思いますが、XC95108はいいかげんもう飽きました。
 結局、回路の構成は下の図のようなごく一般的な構成です。XILINXはXC95144XLTQ144を使います。これは3.3V系で高速なCPLDです。
回路構成

 同期信号(HSYNC、VSYNC)はXILINXに作らせることもカメラチップに作らせることもできます。現在ではマスターとスレーブをソフトウェア的に切りかえられる構成にしています。

部品について
 画像用メモリ、特にSDRAMやSGRAMは大変入手しづらいデバイスです。汎用DRAMやEDOも入手が容易ではありません。秋葉で手に入るDRAMのデータシートはすでにメーカーのWebサイトにある製品情報から削除されていたりします。かといって、メーカーのサイトで最新のDRAMを見つけてきても決してそれは手に入りません。なぜかというとまだ発売されていない、いわば発売予定のものだからです。こういう商品を購入しようとすることを先物取引といいます。

 画像用メモリにはSIMMを使いましょう。SIMMはパソコンに使われなくなってきたので秋葉でもゴミ同然に扱われています。いまこそSIMMに再び魂を吹き込む時期です。
 でもSIMMはDRAMなので、簡単には使えないですね。RASやらCASやらアドレスマルチプレっくすやらで回路も配線も面倒。そこで、SIMMを扱うのはXILINXに任せてしまいましょう。これですっきりします。もちろんXILINXには32本のデータバスが直結します。
 実はSIMMはかなりの電力を消費するのです。使ったSIMMは5年前に3万円で買った8MByteのSIMMですが、消費電流が1A近くあるので電源が耐えられませんでした。そこで、SIMMモジュールに載っている24個のDRAMのうち16個を剥がして消費電力の削減を図りました。はがしたことで、SIMMの容量は4MByteに減ってしまいました。
DRAMをはがしたところ

 カメラが見ている絵や、撮った絵はテレビで見たいですね。画像用のDAは抵抗ではしご回路を作るのが最も高速ですが、ある程度画質を重視したいので、ちゃんとしたDAを買うことにします。RSコンポーネンツに売っているTDA8702なんかがお勧めです。500円くらいなのに8ビットで30MHzくらいのレートが出ます。

 DAから直接NTSC信号を出してもよいのですが、やっぱりカラーでちゃんと見たいので、NTSCのエンコードにはソニーのCXA1645を使います。秋月で1000円くらいで売っていました。DAをRGB3色分用意してCXA1645に通してやれば綺麗なTrueカラー(16777216表示)の絵になるはずです。

製作
基板表面  SIMMのピン配置は50milジグザグなので万能基板には載りません。かといって変換基板を買うのもばかげています。ここはひとつプリント基板を作りましょう。さすがに片面で32本もあるSIMMのデータ線をつなぐのは無理があるので、電源だけパターンを引いておいて細かい配線はラッピングワイヤで行うことにしましょう。
 綺麗にできたと思ったら大失敗。プリンタポートのコネクタの向きが逆でした。おかげで25本もビニール線を配線しました。さらにはNTSCエンコーダのCXA1645のICの幅を100mil小さくつくってしまったので空中配線で難をしのぎます。
基板裏面
 基板の裏にCMOSイメージセンサが載っています。だから、基板を机の上に置くと何も映りません。この装置は普段は手に持って使います。
絵を表示
テレビに映った画面
 これが、パソコンのキーボードとメモリをテレビに映した画面です。ちょっとまだ色が変ですが、一応カラーで映っています。ところで、このカメラは接写が得意なようです。

 映像を4枚ほどSIMMに取り込み、パソコンに転送する機能も作ったのですが、デバッグがまだなので、残念ながらお見せできません。

 いずれ全機能が完成したら、鏡に映した装置の自画像をお見せしたいです。

まとめ
 この装置は4月に計画したのですが、なにかと忙しくて10月になってやっと絵が表示できました。まだまだノイズ対策やキャプチャー処理などいろいろとデバッグするべき箇所は多く残されています。
 本当はSDRAMが使いたいのです。SDRAMを使えばメモリが16bitで済みますし、消費電力も抑えられます。やはりパソコン用のDIMMを買ってきてバラすのが一番でしょうか。
使用CMOSイメージセンサオリンパス光学SC1020
搭載メモリSIMM 4MByte(最大16MByte)
画像キャプチャーメモリー1MByteにつき1フレーム
パソコンとの通信パラレル接続
画像出力カラーNTSC
同期信号発生カメラかCPLDの選択可
消費電力4W程度(あっちっち)