平成14年1月3日朝刊
なひたふ新聞 電子回路が大好きな趣味人「なひたふ」のWebサイト
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maru電子回路の豆知識
第0章 基本の豆知識
第1章 部品の豆知識
第2章 個別半導体の豆知識
第3章 オペアンプ回路の豆知識
第4章 ディジタル回路の豆知識
第5章 コネクタと規格の豆知識
第6章 画像信号の豆知識
6.1 NTSC信号のタイミング
6.2 ドットクロック
6.3 同期信号
6.4 電圧レベル
6.5 色変換のお話
6.6 用語集
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平成10年2月28日発行.第三種郵便物不認可
IREという名の電圧単位
 ビデオ回路では、IREという単位で電圧をあらわします。これは規定の映像レベルを100とした電圧を示す単位なのですが、どうしてこのような面倒な単位を使うのでしょうか?それは下の図をみてください。

信号の送り伝え
 ビデオ信号は上の図のようにして伝送されます。注意すべきは信号の伝送路がコンデンサでカップリングされていることです。このため、ビデオ信号の基準電位は一定しないので、直流の電圧レベルでは表現できないのです。そこで誰でも交流の振幅であらわすことを考えるでしょう。しかし、ビデオ信号の目的は映像を表示することなので、電圧で表現するよりも輝度を基準にした単位の方が都合がよいのです。

 そこで、最高の輝度(白)を100IREとする単位が決められました。この単位では最低の輝度(黒)は7.5IREです。ただし、日本では0IREを黒とする方が一般的です。またこのIREを用いると、水平同期や垂直同期の同期パルスは-40IREと決まっています。
 同期信号は黒よりも黒いということです。

この信号はモノクロNTSCでは、-40IREから100IREまで変化します。そこで、75Ωで終端された受信側での電圧振幅が1Vp-pで140IREと決めています。

つまり、NTSCでは1IRE=7.14mVです。

 かくしてビデオ信号は、映像の振幅が714mV、同期の振幅が286mVで、合わせて1Vp-pの中に膨大な情報を詰め込んでいるわけです。

 このIREという単位は慣れないとギョッとしてしまいますが、色の明るさが数字で直感的にわかる便利な指標なのです。コンポジットNTSC以外の映像信号(VGAやコンポーネントNTSC信号など)では電圧の関係が違ってきますが、そのような信号でもIREで表せば同じ明るさを同じ値で表現できるので便利です。

いろんな信号レベル
水平同期信号  左の図は水平同期信号の図です。この信号のフロントポーチ、バックポーチの部分の電圧は0IREです。このレベルをペデスタルレベルといいます。

 特に7.5IREをセットアップレベルといい、これを黒のレベルとすることもあります。また、水平ブランキング期間のカラーバーストの振幅は40IREと規定されています。

 カラーのNTSCでは、輝度信号に変調された色信号が重畳しています。たとえば、輝度が白(100IRE)のときに、色信号が載った場合には、振幅が100IREを超えてしまいます。そこで、色を送るために、133IRE(1236mV)から-33IRE(5mV)までの使用が許されています。
名前 色でいうと IRE 電圧
ペデスタルレベル 0 286mV
同期信号 黒より黒い -40 0mV
セットアップレベル 7.5 55mV
白レベル 真っ白 100 1000mV
カラーバースト - 40IREの振幅 285mVppの振幅