カラー方式とモノクロ方式で若干周波数が違うのはなぜでしょうか。
モノクロ時代には、フレーム周波数が30Hzと決められました。フレーム周波数が低いとちらつきが目立つようになるのであまり下げるわけにはいきません。逆にフレーム周波数が高いと必要な伝送周波数帯域が広がるので装置が難しくなります。人間の目にとってちらつきが目立たなくなる周波数ということで、30Hzが選ばれました。なお、映画は24Hzです。
さて、画面の走査線の数が525本と決められたので、
水平周波数は 30*525=15.75kHz・・・(モノクロ)
と定められました。
しかし、カラー放送になって、色信号を重畳しなければならなくなり、輝度信号と色信号の周波数が互いに干渉しないように工夫された結果、次のようになりました。
まず、4.5MHzに音声の副搬送波があるので、これとビート干渉しないように水平周波数の偶数倍が4.5MHzになるようにしました。もっとも近い値を選んで、
水平周波数は 4.5MHz*286=15.734kHz・・・(カラー)
と決まりました。水平周波数を525(走査線の数)分の1したものがフレーム周波数なので、フレーム周波数は 15.734kHz/525=29.97Hz
フィールド周波数はその2倍なので、
フレーム周波数は 29.97Hz*2=59.94Hz
です。いわゆる60Hzというのはモノクロ時代の話ですが、0.1%しか違わないので今のテレビの周波数を60Hzといっても間違いではありません。
また、3.579545MHzの由来は次のとおりです。
15.734265kHz*455/2=3.579545MHz
ビデオ信号の基本的な周波数は、このような計算で導くことができます。この際の数字は、適当に決まったわけではなく、周波数のスペクトルの干渉を最小限に抑えるために決められた、非常に工夫された数字なのです。
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