ボルテージフォロア

ボルテージフォロア  ボルテージフォロアは見た目はとても簡単な回路です。動作も入力電圧をそのまま出力するという簡単なものです。でも、システムを組む上で重要な働きをすることがあります。

この回路の動作

 前ページで紹介しました、非反転増幅器の式
Vo=V+(1+(R2/R1))
で、R2を0に、R1を∞にします。つまり、V-端子とオペアンプの出力端子を直結します。すると出力電圧は、
Vo=V+
となります。「なんだ、1倍にしか増幅しないんじゃ意味ないんじゃないか?」と思う方も多いとおもいます。でも、これはとても大事な回路なのです。
 ボルテージフォロアの存在理由は主に二つあります。それは、 です。順番に見ていきましょう。

インピーダンス変換

 たとえば、光センサや圧力センサなどの信号を計測したいと思います。計測する信号は微弱な信号であるとします。この信号は微弱なので、測定するために信号源から測定器に電流を流してしまうと、測定したい電圧が変わってしまうかもしれません。
 もし、信号源の出力インピーダンスが100kΩの場合に、測定器の入力インピーダンスが100kΩの場合は、測定される信号は2分の1に目減りしてしまいます。このような信号源を正しく計測する場合には、信号源の出力インピーダンスより、測定器の入力インピーダンスが十分高いことが必要になります。
 このような場合にボルテージフォロアが役に立ちます。ボルテージフォロアの入力インピーダンスはオペアンプの入力インピーダンスに等しいので、普通はとても高い値です(1MΩくらい)。そして、ボルテージフォロアの出力インピーダンスはオペアンプの出力インピーダンスなので(数100Ωくらい)、弱い信号を強くして出力するわけです。
 インピーダンスという言葉が聞きなれない人は、抵抗値とおもって差し支えありません。出力インピーダンスが高いということは、出力に直列につながれた抵抗が高いので、弱い電流しか流すことができない、というわけです。

回路の分離

 直流の信号はダイオードを使えば一方通行にすることはできます。では、交流の信号を一方通行にするにはどうすればよいでしょうか?答えは、増幅度1倍のアンプをつなぐことです。
 交流の信号をダイオードで一方通行にしようとしても、交流は電流の向きが変わるので、ダイオードではできません。それに、ダイオードの向こう側でたとえば回路がショートしてしまうと、回路のこっちがわもダメージを受けてしまいます。これは直流でもいえることです。
 前の回路に影響を与えずに、電気信号の伝達を一方通行にしたい、そんな時に回路の分離が必要になります。このような場合はボルテージフォロアの出番です。
 ただ、ボルテージフォロアで分離しても、高周波ノイズが回路の向こうからきたりしたら、まれにすり抜けてしまうことがあります。回路の分離の精度を追求するならば、アイソレーションアンプを使うべきでしょう。特に静電気やノイズの多い場所では普通のアンプやボルテージフォロアによる分離では不充分で誤動作の元になることがあります。

ボルテージフォロアの注意点

 ボルテージフォロアは便利ですが、いくつか気をつけなければならないこともあります。非反転増幅器の項で説明した同相信号入力電圧範囲は守らなければなりませんし、ボルテージフォロアで使用できないオペアンプもあります。そのようなオペアンプではちゃんとデータシートに注意書きがされていますので、ボルテージフォロアに使うオペアンプのデータシート一度は読んでみると良いでしょう。

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この回路はV+に電圧のある反転増幅器を発展させた回路の例です
この回路を発展させた回路の例として を紹介します。
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