スイッチ2

 トランジスタを使ったスイッチング回路です。ベースに小さな電流を流すと、コレクタ−エミッタ間が導通し、大きな電流をスイッチングできる回路です。

説明

 この回路は小さなベース電流で大きなコレクタ電流をスイッチできるという回路で、今も昔もいろいろなところで良く使われています。この回路のトランジスタのコレクタは、スイッチONで電流を吐き出します。使い方はとしては、「制御したいもの」の電源にコレクタをつなぎます。「制御したいもの」のGNDは回路全体のグラウンドにつなぐことができます。ベース電流をON/OFFすると「制御したいもの」の電流をON/OFFすることができます。

おとしあな

 この回路には意外な落とし穴があります。それは、コレクタエミッタ間飽和電圧と直流増幅率です。たとえば電源電圧が5Vの装置でこの回路を使った場合、トランジスタのコレクタエミッタ間飽和電圧が0.2Vの場合、「制御したいもの」には最大でも4.8Vの電圧しか加えることができません。また、直流増幅率(Hfe)が20のトランジスタを使った場合で「制御したいもの」が1Aの電流を流す必要がある場合には、ベース電流には50mAを流す必要があります。

 なぜか電流がちゃんと流れないとか、「制御したいもの」にかかる電圧が低いと散々デバッグして嘆いた挙句に、原因は単にベース電流とHfeが足りなかったなどという話はよくあります。

良くあるミス

 特に初心者〜中級者にありがちなのが、ベースに直列に入っている抵抗や、ベース−エミッタ間の抵抗を抜かしてしまうことです。

ベースの抵抗はなぜ必要?

 これはスイッチ1に書いたのと同じ理由です。

スイッチ1の回路との違いは?

 NPNトランジスタを使ったスイッチ1の回路は電流を吸い込むタイプですが、PNPトランジスタを使ったスイッチ2の回路は電流を吐き出すタイプです。それぞれのトランジスタのコレクタエミッタ間飽和電圧Vce(sat)が0.2Vの場合、それぞれの電圧は右の図のようになります。スイッチ1の回路では「制御したいもの」のGNDが共通でないので、0.2Vくらい浮いた値になったしまうのが気持ち悪いと感じるかもしれません。


高い電圧をON/OFFするには?

 スイッチ2の回路でロジック電圧よりも高い電圧を制御したい場合、気をつけるべきことがあります。PNPトランジスタを動作させるには、トランジスタのベースの電圧はエミッタの電圧よりも約0.65V低くなければなりません。たとえば12Vくらいの高い電圧を制御する場合に、ベースの電圧は有無を言わさずに11V近くになります。これを抵抗を介してディジタル回路につなぐと、ICが壊れるかもしれません。だから、一度NPNのトランジスタで受けてからディジタル回路につなぐような癖をつけましょう。このときに抵抗をちゃんとつけるのを忘れないでください。

欠点

 この回路はあまり高速なスイッチングはできません。その解決方法はスイッチ3をごらんください。また、リレーやモーターなどのコイルを含んだものをスイッチするときには、スイッチ4をごらんください。
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