非反転増幅器も反転増幅器と同様に抵抗の比で増幅度を設定できるのですが、1以上の増幅度しか設定できません。反転増幅器ではR2<R1の時は増幅度が1より小さいため、増幅器ではなくアッテネータとして動作しましたが、非反転増幅器ではそのような使い方ができないということです。
非反転増幅器の入力インピーダンスはオペアンプのV+入力端子の入力インピーダンスそのものです。これは最低でも100kΩ以上、高いものでは1TΩ(テラ、1012のこと)以上にものもあります。とても入力インピーダンスが高くできるので、微弱な信号の検出には非反転増幅器よく使われます。
ただ、非反転増幅器の入力インピーダンスはあまりにも高いので、開放状態になると外来ノイズや漏れ電流の影響であまりよいことになりません。そのため、汎用の増幅器を作るときには、適当な入力抵抗をグラウンドと並列に入れて、入力インピーダンスを設定してやることになります。
なぜこのようなことをするかというと、とても大事な理由があります。オペアンプの入力端子には電流が流れないと一般にはいわれていますが、実は入力バイアス電流というとても小さな電流が流れます。FET入力のオペアンプでも入力のバイアス電流はゼロではありません。
これら、入力バイアス電流はオペアンプ内部の入力のトランジスタを動作させるために必要な電流ですので、この電流を必ず流してやらなければオペアンプは正しく動作してくれません。FET入力のオペアンプでは流さなくても一応動作しますが、入力が完全に浮いた状態ではノイズや誤動作のもとになります。
そのために、敢えて入力端子からグラウンドに抵抗をつなぐ必要があります。この抵抗の値が回路の入力インピーダンスになります。
反転増幅器では普通はV+を0Vに固定し、バーチャルショートが成り立っているので、V-の電圧もほぼ0Vでした。
でも非反転増幅器ではV+は入力電圧ですし、バーチャルショートが成り立っているので、V-もV+といっしょに変動して、ほぼ入力電圧になります。
実は、オペアンプのIC自体はV+やV-が0V付近にあるときがもっとも良い性能が出るように設計されています。また、V+やV-が電源電圧付近にあるときには正しく動作してくれないのです。特に、V+を下げていくと出力電圧も下がっていきますが、負電源の近くでは逆に出力電圧は上がってしまいます。
このため、オペアンプが正常に動作する入力電圧の範囲が決められていて、それを同相入力電圧範囲(CMRR)と呼んでいます。これは通常のオペアンプでは電源電圧範囲よりも2Vくらい低い値です。
Rail-to-railといわれているオペアンプはこの入力電圧範囲が電源電圧までOKであって、出力電圧も電源電圧目いっぱいまで振ってくれるという品種です。
単電源オペアンプというのは、入力電圧の範囲を負電源電圧または正電源電圧まで拡張して、電池で動くシステムやディジタル回路とのインターフェースをやりやすくした品種です。