戻る

NP1003Bの不具合とその対策について

平成15年8月3日

 NP1003(無印)および、NP1003Bには、以下の不具合があり、お客様皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

現象

 3.3Vの電源電圧が4.0V付近まで上昇している。

原因

 USB用チップFT245BMの13番ピンは、VCCIOという入出力端子用の電源ピンであって、本来は電源を入力する端子です。しかしながら、ある条件下で、この端子からUSBのパワーである5Vが逆流してくるという現象が発生します。このため、3.3Vの電源電位が4.0V付近まで上昇し、FT245BMの発熱が増大します。
 この状態でもFT245BMおよびFPGAは動作をすることができますが、良い状態ではありません。
 この現象は、SI/WUを5Vに接続したため発生したと考えています。

SI/WUとは?

 FT245BMにはSI/WUというピンがあります。このピンの説明はデータシートに2箇所記載されています。(機械)翻訳すると・・・

 新しいSend Immediate/WakeUp信号は、1つのピン上で2つの機能が結合されている。
 USBがサスペンドモード ( そして、遠隔 wakeup は、 EEPROM で可能にされる ) にあるならば、…ストローブ…このピン…低く、…デバイスにレジュメを要求させるであろう…から… USB Bus でぶら下がる ( WakeUp ) 。
 通常、これは、ホストPCを起動するために使われ得る。
 通常動作の間、このピンがLowにstrobeされるならば、本デバイスのRXバッファにある全データは、パケットサイズに関係なく、ドライバからの次のBulk-IN要求の際に、USB 上に送られる。
 これは、あるアプリケーションのために USB 伝送速度を最適化するために使うことができる。

 Send Immediate/WakeUp信号は、1つのピン上で2つの機能が結合されている。
 USB がサスペンド状態(PWREN#=1)にあって、リモートwakeupがEEPROMの設定で許可されているならば、このピンをLowにすると本デバイスはUSBバスにレジュームを要求する。
 通常、これは、ホストPCを起動するために使われる。  通常動作(PWREN#=0)の間、このピンがLowにstrobedされるならば、本デバイスのRXバッファにおける全データは、未決定のパケットサイズに関係なくドライバからの次のBulk-IN要求にの際に、USB 上に送られるであろう。
 これは、いくらかのアプリケーションのために USB 伝送速度を最適化するために使われ得る。
 もし、使わなければ、このピンをHighに固定しなさい。


 すなわち、SI/WUは、コンフィグEEPROMの内容によって2つの機能を持つということです。

 Send Immidiateに設定した場合、Lowにすると、Bulk-IN(USBデバイス→ホストPC)の際にパケットサイズに関わりなく、即時に送信するようになります。
 一方、WakeUPに設定した場合、Lowにすると、ホストPCをリモートでWakeUPできるようになります。

 これらの機能を使用しない場合は、Highに固定するようにと書かれていますが、Highの電圧レベルを、5.0VにするとVCCIOから5.0Vが逆流してくるとは、データシートに書かれていません。

 このため原因の真相はわかりませんが、SI/WUを3.3Vにすることで逆流は解決しました。おそらく、SI/WUからVCCIOに向けてチップ内部にダイオードが入っているのでしょう。この現象は、FT245BMのバグ(あるいはマニュアルの記載不備)であると考えられます。


FT245BM内部構造想像図

対策方法

 ナヒテックで出荷した完成品は、VCCIOを基板のパターンから浮かせる方法で対処しています。キット版の方はパターンを浮かせるか、SI/WUを3.3Vに接続変更する方法で対処してください。

(1)VCCIOを切断する。
 13番ピン(VCCIO)を基板から浮かせるか、あるいは、基板上でパターンをカットします。この対策を施すことによって、I/Oパッド用の電源はSI/WUと内部ダイオード経由で供給されると思われます。


パターンカットした際の状態(想像図)

(2)SIWUを3.3Vに接続する。
 11番ピン(SI/WU)を3.3Vに接続すると、VCCIOから3.3Vが出力されるようになります。11番ピン(SI/WU)を基板から浮かせ、ジュンフロン線によって3.3Vに接続します。


SI/WUを正しく接続した際の状態(想像図)

今後の対応

 本問題はNP1003Cバージョン以降では、基板上で対策済みです。
 NP1003B以前のバージョンをお持ちで、対策をご希望の方は、返送してください。無料でパターンカット対応させていただきます。

FT245BMを使う上での注意点

 おそらく、この問題はFT245BMを使用する上で、SI/WUに限ったことではないと思います。SI/WU以外のピンであっても、5Vになることがある場合、VCCIOに逆流してくるものと思われます。