差動増幅器1

回路図  基本の差動増幅器の入力インピーダンスの低さを改善した回路です。オペアンプ2個を使います。ただし、同相入力電圧範囲の問題が生じてしまいます。

この回路の動作

 オペアンプ1つで実現した差動増幅器は、いくつかの問題がありました。その中でもこの回路は入力インピーダンスの低さを改善しています。それぞれの入力はオペアンプの+入力端子に直接つながっています。そのため、この回路の入力インピーダンスはオペアンプの入力インピーダンスそのものになります。これはとても高い値です。
 この回路の動作はなかなかアクロバットなものです。まず、一つ目のオペアンプの出力電圧VMを求めましょう。ここだけみると非反転増幅器になっていますから、
VM=(1+R2/R1)V-IN=(R1+R2)/R1V-IN
になります。後段のオペアンプを見ますと、V+にオフセットの加わった反転増幅器になっています。もちろんオフセットがV+INで、信号入力がVMになっています。出力電圧は
VO=V+IN+(V+IN-VM)R4/R3
=V+IN(R3+R4)/R3-V1R4/R3
です。式を簡単にするためにR1=R4、R2=R3と決めると、見事に打ち消しあって、
VO=(V+IN-V-IN)(R1+R2)/R2
となります。

 全体の利得はR1=R4とR2=R3で非反転増幅器のように設定します。もちろんこの回路でも抵抗値の比にばらつきがあると、正しく引き算をしてくれず、変な成分が残ってしまうことになりますので、金属皮膜抵抗や集合抵抗の使用が推奨されます。

 動作を見てみましょう。たとえば、R1=R4=1kΩ、R2=R3=100kΩとします。このときは、いったんV-INの電圧を101倍に増幅したのに、それを100分の1にした分を出力から引いています。でもオフセットが加わっているので、ちょうどうまく行っています。なんとも不思議な回路です。


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この回路は差動増幅器を発展させた回路の例です
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