改良された積分回路

回路図  オペアンプの帰還抵抗の代わりにコンデンサをいれると、積分回路ができ上がります。この積分回路では直流増幅率を制限しています。

この回路の動作

 積分回路は、当然ですが、直流の増幅率が無限大になってしまいます。これを嫌う人もいます。そういう人のために、コンデンサに並列に抵抗を入れた回路があります。

 動作を考えるには、やはりラプラス変換を使って考えるのが楽です。反転増幅回路の式で、帰還抵抗がR2とCとの並列だと考えます。並列なので、インピーダンスはR2//(1/sC)になります。つまり、

(R2/sC)/(R2+1/sC)
です。分母と分子にsCをかけると、R2/(1+sCR2)になります。結局、回路の増幅率は
(R2/R1)/(1+sCR2)
 周波数が低い極限(s=iω=0)でこの回路は反転増幅回路の特性に一致します。また、周波数が高い極限(ω→∞)で分母が限りなく大きくなるので、周波数が高いほど減衰します。
 動作としては、積分と増幅の中間のような動作です。ある周波数以下ではただのアンプで、ある周波数以上では積分回路になります。その周波数となる目安は
fC=1/(CR2)
です。周波数特性をグラフに書くと、次のようになります。 周波数特性

◆よく見ると・・・

回路図 回路の伝達特性はCRで作る一次ローパスフィルタと同じ形をしています。

VO=Vi/(1+sCR)
 ただ、CRフィルタでは増幅はできませんが、この回路では増幅もしてくれるという特徴があります。

◆何に使うのか

 CRローパスフィルタの替わりに使うこともあります。CRフィルタでは出力インピーダンスが高くなってしまいますが、この回路の出力インピーダンスはオペアンプの特性でとても低くなっています。
 同時に、回路の分離も行われています。この積分器の後にくる回路がどんな回路であろうと、積分器の前にくる回路に影響はあたえません。
 また、普通の反転増幅回路において高域の利得を下げたい場合に、帰還抵抗にコンデンサを並列に入れる例をよく見かけます。不要な高域の利得を下げることは、不要な信号の増幅を避けたり、発振を抑えるのに効果があるためです。

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この回路は積分回路を発展させた回路の例です
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