◆微分回路
実用的な微分回路です。この回路を設計する前に、微分回路に入力する周波数の範囲をあらかじめ決定しておかなければなりません。
◆この回路の動作
前の微分回路と何が違うのかというと、入力コンデンサに直列に抵抗が入ったことと、帰還抵抗に並列にコンデンサが入ったことです。回路の動作を求めるためにはラプラス変換の手法が便利です。
まず、抵抗とコンデンサの並列のインピーダンスを考えます。複素インピーダンスZ1とZ2をもつ二つの素子の並列のインピーダンスはZ1Z2/(Z1+Z2)になります。
ここで、Z1=R、Z2=1/sCとおいてみると、並列のインピーダンスは
R/(1+sCR)
となります。回路は反転増幅回路の入力抵抗と帰還抵抗がそれぞれ複素インピーダンスになっただけなので、入力抵抗を(R1+1/(sC1))とし、帰還抵抗をR2/(1+sC2R2)として計算すると、
Vo=ViR2/{(R1+1/(sC1))×(1+sC2R2)}
になります。
◆わかりやすい解説
微分回路というのは、そもそも入力周波数に対して利得が正比例するという特性があります。しかしながら、無限に高い周波数を無限に増幅してしまうのでは、必ず発振を起こしてしまいます。
まず、C2=0(開放除去)の場合で考えます。この回路では入力に直列にいれた抵抗R1によって最大の利得をR2/R1に制限しています。ある周波数までは周波数と利得が比例しますが、その後は利得が平らになります。その周波数は
f1=1/R1C1
できまります。
また、十分に高い周波数では利得を下げたいという場合があります。そのときにはC2の出番です。C2の効果によって積分動作が行われるので、ある周波数以上では周波数と利得が逆比例するという関係になります。その周波数は、
f2=1/R2C2
できまります。
f2>f1と設定しておくことで、低い周波数では微分、高い周波数では積分を行う安定した微分回路がつくれます。あらかじめ回路で使いたい周波数範囲を定めてから設計するのがポイントです。
ただし、この回路は完全に正確な微分を行う回路ではありません。ステップ入力に対しては尾を引いてしまいます。残念なことですが完全に正確な微分回路はアナログ電子回路で作ることはできません。
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この回路は微分回路を発展させた回路の例です
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