コンパレータ

回路図  この回路は二つの入力電圧の差をとって、どちらが大きいかということを教えてくれる回路です。

この回路の動作

 オペアンプ二つの入力電圧の差を増幅します。ただ、その増幅度が非常に大きいので普通は負帰還をかけて使うのですが、コンパレータとして使うときには負帰還を書けずに使います。すると、入力電圧のわずかな差をとても大きく増幅するので、入力電圧に少しでも差があると出力は正か負に飽和してしまいます。
 V+>V-ならば出力は正に飽和します。V+<V-なら出力は負に飽和します。

落とし穴を三つ

 単純な回路ですが、三つのことに気をつけなければなりません。それは同相入力電圧範囲と出力電圧範囲の問題、それから裸利得の問題です。
 たとえば±15Vでオペアンプを使うときには、入力電圧や出力電圧は±15Vまで使うことはできません。ごく一般的な10年くらい前の汎用オペアンプならば、±13.5V程度です。それはオペアンプの中身は大量のトランジスタ回路なので、電源電圧めいっぱいまで信号電圧を振ることができず、入力も出力も電源電圧よりも1.5V程度低い電圧までしか扱うことができません。
 たとえば、通常のオペアンプを±15V電源で使っている時に、V+=-15V、V-=5Vとすると、V-の方が大きいので出力は-15Vになりそうですが、実は-15Vという入力電圧は許されないので、オペアンプは誤動作して出力は+13.5V程度に飽和してしまいます。

 この点を解決するためには、同相入力電圧範囲の広いオペアンプを使うか、入力電圧が電源電圧に近づかないように配慮した回路設計が必要になります。
 たとえば、単電源用オペアンプというのは入力電圧範囲が負電源まで伸びていますので、入力をGNDにつないでも誤動作しません。また、レールツーレール品というのは入力電圧も出力電圧も電源電圧までめいっぱい使えるように設計されたものです。

 次に裸利得の問題ですが、実在のオペアンプの裸利得は無限大ではありません。直流では10万倍程度ですので、入力電圧差が0.1mVしかないときには出力電圧は1Vしか出てこないということです。通常はこれでも問題はないはずですが、微小信号の比較をするときやノイズの多い信号を比較するときには特別の配慮が必要になります。


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