Digi-Key注文のテクニック

平成24年2月14日

電子部品の購入では、もはや、Digi-Key抜きには考えられません。

そんな、Digi-Keyへの発注テクニックを紹介します。

Digi-Keyはどこにあるのか?

アメリカとカナダの国境近くです。

Digi-Keyと日本の商社の違いは何ですか?

Digi-Keyは、常に部品メーカーに発注をしていて、巨大な倉庫に大量の在庫をもっています。倉庫にある部品であれば、即日発送されます。

それに対して、伝統的な日本の商社は在庫を持ちません。ユーザから注文をうけてはじめてメーカーに見積もり依頼し、最低発注数量単位で納品された部品をユーザに届けます。そのため納期は数週間かかるのが普通です。それに特に安くもありません。小規模な注文に対しては利ざやもすくないので、二次代理店、三次代理店に回されることもあります。そういう二次・三次代理店を経由すると価格も高くなります。「納期がかかる・小売してくれない・高い・腰が重い」の理由はここにあります。

しかし、10000台くらいの量産になってくると、日本の商社に頼んだほうがいいのかもしれません。

何日くらいで届くのか

Digikeyへの注文は普通は翌々日に届きますが、ベストケースでは翌日に届きます。

例えば、

・月曜日に注文すると水曜日に届きます。
・火曜日に注文すると木曜日に届きます。
・水曜日に注文すると金曜日に届きます。
・木曜日に注文すると翌週の月曜日に届きます(土曜日はUPSがお休みなので配達されません)。
・金曜日〜土曜日(早朝)に注文すると翌週の月曜日に届きます。
・土曜日(10時以降)〜日曜日に注文すると翌週の水曜日に届きます。

ここで注意すべき点は、朝(日本時間で朝10時まで)に注文すると、アメリカはまだ前の日なので、翌日に届くように見えます。
土曜日(10時以降)〜日曜日の注文は、アメリカが月曜日になってから処理される(日本ではすでに火曜日)ので、とても遅くなります。

つまり、最短は翌日、最長で4日です。

発注の曜日以外にも、納品が送れてしまうさまざまな落とし穴がありますので、注意してください。

何時までに注文すればよいか?

アメリカのセントラルタイムではまだ昨日なので、その日のうちの注文として受け付けてくれます。

日本時間で昼間〜夕方に注文すると、大抵、日本時間で翌日の深夜3時ごろにShipmentのお知らせメールが来ます。すると翌々日の昼に成田を通過します。

つまり注文のベストケースは、

 「日本時間で朝6時ごろに注文→アメリカからすぐに発送→翌日に成田到着→夕方に配達」

ですが、休日の前(日本時間では土曜の朝10:00)だったりオーダーが込み合っていると翌営業日に回されてしまうので要注意です。朝10時まで大丈夫だと余裕かましてないで、前の日の夜のうちに注文をすませましょう。

特に、1回の注文で、たくさんの部品を頼むと遅くなります。土曜の朝に大量注文などしないようにしてください。

通は「どうしてもすぐ欲しいもの」は1個の別の注文で頼み、「ゆっくりでいいもの」は別の注文に分けます。

また、「現在在庫切れ」の商品も別の注文として頼んでください。送料を惜しんではいけません。

中では人間が作業しているので、たくさんの品種を注文すると遅くなります。中の人の気持ちを考えたオーダーをするのがコツです。

支払方法はどうすればよいか?

銀行振り込みか、クレジットカード払いが選べますが、銀行振り込みを選んでおいたほうが無難です。なぜなら、万が一、クレジットカード払いで承認が得られない場合(カード番号や名前の記入ミスや、限度額など)には、注文が保留されてしまうからです。

そうなると、正しいカード番号や代わりのカード番号をFAXでDigi-Keyに送信しなければなりません。FAXは日本のオフィスに送信することになり、その後、日本のDigi-KeyからアメリカのDigi-Keyに連絡が行くことになります。発送はすべてアメリカなので、アメリカのDigi-Keyに承認してもらわなければなりません。日本のDigi-Keyは日本時間で朝9時から営業ですが、アメリカのDigi-Keyは日本時間で朝10時にしまってしまうので、重なりはわずか1時間。訂正したカード番号をFAXで送っても、受け付けてもらえるのは翌営業日となります。

いろいろ書きましたが、要点を言うと、カードで失敗すると2〜3日ロスします。

昔は三井住友銀行で非居住者円普通という特殊な口座に振り込みしていたのですが、いまでは普通に支払いができます。
(非居住者円普通は銀行の行員でも消費税の扱いがまちまちだったりして、いまいち大変だった)

土日に受け取りたい

UPSとヤマト運輸が提携していたはずなので、UPSに直接言えばなんとかなるかもしれません。

ただし、UPSは土日は休みなので、交渉は平日の間(つまり飛行機での輸送中)にしておかなければなりません。

利用目的には何を書けばよいか?

「○○をするための○○の装置」、のようなことを英語で書きます。ある程度詳しく書きます。

「FPGAボードの修理用交換部品」とか「オーディオアンプ」とか「USB経由でフラッシュROMに書き込むための装置」とか。

Hobbyと書くのはまだやったことがありません。

ここを日本語で書くと、日本のDigi-Keyサービスセンターのスタッフが英訳してアメリカに送るので、1日から2日くらい遅れます。日本語で書くと早朝注文テクニックが使えません。できるだけ英語で書きましょう。

エンドユーザには何と書けばよいか?

自分自身が個人で使う場合はmyself。自分の会社で使う場合はour companyです。

一般に販売する商品に使う場合は「組み込みシステムを開発する企業」みたいなことを英語で書けばOKです。

会社からの発注でmyselfと書くと、「なぜ会社の注文なのにmyselfなの?」と聞かれて納期が1日遅れたことがあります。

分割発注とは?

在庫がない商品を注文したときに、分割発注をするか否かのオプションがあります。

迷わずに送料を2回払っても分割発注をするべきです。待ち時間は360日にしておきます。キャンセルはいつでも行えます。

そして、在庫切れの商品(リードタイムと表示される)は別の注文にして他の注文と分けておくべきです。

もし在庫切れの商品が2種類以上あるときには、それぞれ、別の注文として分けて発注します。全部揃うまで発送されないというリスクがあるからです。つまり、「在庫がある商品」+「在庫切れ部品1」+「在庫切れ部品2」・・と複数の注文に分けます。送料や手数料をケチってはいけません。中の人の処理が楽になるように、注文をできるだけシンプルにします。

部品の検索の仕方(アメリカ式の呼び方)がわからない

こればかりは仕方がありません。

例えば、ジャンパピンはshunt(シャント)といいます。

普通、日本ではそういう呼び方しないので、わからないです。

いずれ、そのような検索の対応表もまとめていきたいと思います。

 

リードタイムと表示されたら

リードタイムに慣れてきたら一人前です。

例えば、現時点で121個の在庫がある部品を10000個注文して、次のように表示されたとしたら、Digikeyからメーカーにすでに126個の注文(バックオーダー)が行われていて、それが3月1日に入荷されるんだなと、3月23日の予定はまだDigikeyからメーカーへの発注が行われていないんだな、と推測されます。

先まで買占め

在庫切れの商品であっても、Digi-Keyは常にメーカーに発注しているので、あなたが注文するか否かにかかわらず、いずれDigi-Keyは入荷します。将来の分までそれを買うこともできます。

例えばある部品の在庫が100個だとして、15日後に2000個入荷、30日後に2000個入荷、45日後に5000個入荷という部品があるとします。この場合、あなたにとってのリードタイムは15日です。

4100個の注文を入れると、30日後の分まで買うことができます。そして、他の人にはリードタイム45日と表示されます。こういう人がキャンセルすると、突然、在庫が出現します。これゆえ、リードタイムより早く届く部品があります。

Digiリールが意外とおすすめ

プリント基板の実装業者さんは、小分けにされたテープやバラの部品を快く思いません。自動機で実装できるよう、リールにまいてあげましょう。わずか900円の追加費用で実装がとても楽になり、実装屋さんとの関係もよくなります。それは実装の品質向上にもつながります。

世界中で部品が一気に不足することがある

8ピンSOPパッケージのSPI ROMとか、DDR2用メモリの電源ICとか、何らかの理由で世界中の商社から一気に在庫が消える場合があります。普通にありふれた部品なのに納期8ヶ月とかでたら危険信号です。そういう兆候をつかんで、リスクを避けるために買い占めてようとすると、ますます世界中の電子部品商社から在庫が消えます。買占めよくない。現時点の在庫量と「在庫量以上の注文をしたときのリードタイム」は常に気をつけてウォッチしましょう。

日本で買えない部品もある

代理店の都合(日本では○○社が総代理店契約をしているなど)で、Digikeyの日本語画面では表示されない部品もあります
※かつてALTERAの部品が買えないことがあった気がする。

そういう場合、USのDigikeyのサイトで探すと検索にはひっかかりますが、支払いの段階で日本円を選択したり発送先を日本にすると買えなくなります。あきらめてください。たぶん今(平成24年2月)でもWinBondのROMとかは買えないはずです。

日本サイトで「W25Q」を検索

USサイトで「W25Q」を検索

 

まとめ(ノウハウ10か条)

  1. Digikeyが「早い・安い・1個から買える」のは、大量の在庫をいつも倉庫に抱えてくれているから。
  2. 注文締め切りは日本時間で朝10時。アメリカのセントラルタイムではまだ前日。運がよければ翌日に届く。
  3. 木曜日・金曜日の発注は翌週月曜日に到着なので、おトクでない。
  4. 利用目的とエンドユーザは英語で書かないと発送が遅れる。自分なりの定番の書き方を考えよう。
  5. 支払方法は銀行振り込みがベスト。1ヶ月くらい未払いにしている代金があると留保されることがあるのでちゃんと支払え。
  6. あまりたくさんの種類をまとめて発注しないこと。送料を惜しんではいけない。
  7. Digikeyは、他のネット通販と比べると、輸入消費税が代金に含まれているので、経理が楽。
  8. 天候や事件・事故により飛行機が遅れることがあるが、それは仕方がないとあきらめる。
  9. 非在庫保有商品でも入荷しないわけではない。非在庫保有商品というのはあまり気にしなくていい。
  10. 在庫が0でもためしに1000個とか入れてみて、リードタイムが表示されれば次の入荷時期がわかる。

※これは私が独自に編み出したノウハウなので、内容の正当性については保障できかねます。
※実際のDigikeyのポリシーと異なっているかもしれませんが、その際はご容赦ください。
※このノウハウを利用して、どのような事態が起きても、私(なひたふ)は一切、その責を負いません。


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