電圧-電流変換回路1

 NPNトランジスタを使ったへんてこな回路です。これは負の電圧を電流に変換するV-I変換回路です。この回路はプラスマイナスの2電源を使うシステムで扱えますが、説明の最後に正の入力電圧や単電源でも動作させる方法を紹介します。

説明

 トランジスタのベースがグラウンドに接続されていますので、エミッタはそれより約0.65V低い、-0.65Vの電位になります。この回路が正常に動作しているときには必ずこの関係は成り立っています。


 エミッタにつながれた抵抗の先に入力電圧を加えます。この電圧をVi [V]とします。抵抗の方側がVi[V]でもう片方が-0.65Vなので、この抵抗には

-(Vi-0.65)/R1 [A]

の電流が流れます。電流の流れる方向はトランジスタの方から抵抗を介して入力側に流れる向きです。さて、この電流はどこから供給されるのでしょうか?

 ベースではありません。エミッタに流れる電流のほとんどはコレクタから供給され、ベースにはおよそその1/(1+Hfe)しか流れません。そのかわりコレクタから電流を吸い込むわけなので、コレクタには十分な電流を供給できる正の電源が必要になります。この回路は電流源として働いて結果を出力をします。

 もう一度動作をまとめますと、入力電圧-Vi[V] (<0.65V)が加わったときに、-(Vi-0.65)/R1のエミッタ電流がながれ、そのHfe/(1+Hfe)倍(ほとんど1に等しい)をコレクタから吸い込みます。

-Ic=-(Vi-0.65)/R1 *Hfe/(1+Hfe)

電圧のレベル変換

 この回路は電圧レベル変換回路にも使えます。電流を吸い込む形で回路の出力がなされるわけですが、ここに抵抗をつないでおけば電圧降下を使って電圧が取り出せます。

Vout=VCC-Ic*R2

負の電圧を正の電圧にシフトする回路ができた!と喜びたいところですが、それはベース接地回路と呼ばれる電圧増幅器であります。ベース接地回路は初心者にはとかく敬遠されがちですが、ここで書いた順番で理解していけばそれほど難しくはありません。

基準電圧を変更するには

 この回路はベースをグラウンドに固定しているので、両電源が必要になったりしてあまり使いやすくありません。抵抗分割で作った電圧をベースに加えれば、中心電圧を変更することができます。

 右図の回路では

VCC*R3/(R2+R3)-0.65 [V]

を基準にして、入力電圧との差を抵抗値で割った電流を出力します。この回路なら片電源でも動作させることができます。

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