バイアス回路1

 トランジスタを使った定電圧回路の基本です。この回路ではトランジスタの両端の電圧が一定に保たれます。これは定電圧回路としてつかうよりも、トランジスタで作ったB級プッシュプル増幅器のバイアス回路に使われます。

 動作原理は次のようになっています。なお、以下の式ではVEを基準にして書きます。

IR1=VB/R2
VC=VB+IR1*R1
もしくは
VB=VC*R2/(R1+R2)
VE=VB-VBE

 VEを0として考えると、まずベース電位VBはVBEの値なので約0.65Vになっています。ベースに流れこむ電流が十分小さければVBEはVCをR1とR2で分圧した値になります。すると、
VC=VBE*(R1+R2)/R2

 これらの関係より、R1とR2を定めれば、VBEによって変化する電圧源がつくれます。この回路は単独で使われることはまずありません。電圧がVBEに比例して変化するので、B級増幅器のバイアス電圧を作り出すために使われます。

 B級増幅器ではクロスオーバーひずみをなくすために、入力がないときでも常にベースにバイアス電圧を加えて小さな電流をトランジスタに流しつづけますが、増幅器で使うトランジスタのVBEは温度によって変化してしまいます。すると動作点が変わってしまいあまり芳しくありません。そこで、温度変動があるとバイアス電圧も変わるような回路をつくり、、トランジスタのVBEの温度変動といっしょにバイアス電流が変わるようにするために使います。この回路のR1は半固定抵抗を並列や直列につないで、望みの電圧に調整できるようにします。


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