J-FETはゲートとソースドレイン間がダイオード構造になっています。このダイオードは逆方向に流れる電流が極めて小さいという特徴を持っています。これを積極的に使う例を紹介します。
微小信号を測る回路や精密な電圧を測定する回路が世の中には多くあります。そんな回路でもやはり入力の保護はかかせません。間違って入力に高い電圧を加えても回路が壊れないように設計するのも大切です。
そのために、入力保護回路としてダイオードが良く使われます。ダイオードは0.65V以上の電圧が加わると電流が流れるので、入力の保護に良く使われます。電源電圧より0.65V以上高い入力が入った時には、抵抗を通じて弱められた高電圧がダイオードを伝ってVCCに逃げます。また、-0.65Vより低い入力電圧が加わった場合には下側のダイオードが働いて、回路には決して-0.65Vより低い電圧は加わりません。
しかし、この回路ではダイオードに常に逆方向の電圧が印加されてしまいます。ダイオードが逆方向に電圧を流さないというのは間違いで、実はごくわずかな電流がちょろちょろと流れます。この値は数ナノアンペアととても小さいのですが、フォトアンプなど微小な信号を検出する回路では問題になってきます。
そのため、逆方向に電圧をかけたときの漏れ電流が小さなダイオードを探すことになるのですが、こんなときJFETをダイオード代わりにすると、漏れ電流が数ピコアンペアから数十ピコアンペアの良質の保護ダイオードになります。このFETには汎用の2SK30や2SK373でも大丈夫です。